賃上げは、コストではなく設計の話
2026/07/26
毎年この時期になると、最低賃金の改定の話が出てきます。「また上がるのか」と、少し身構えてしまう。そんな感覚をお持ちの経営者の方も、少なくないのではないでしょうか。
正直に言うと、私自身もここ数年の上がり方の速さには驚いています。数年前までは「少しずつ上がっていくのだろう」という感覚でいました。ですが今は、大幅な引き上げが続くことを前提に経営を組み立てる局面に入ったと感じています。
最低賃金の引き上げが中小企業に与える影響は、人件費が増えるという一点だけではありません。
パートやアルバイトの時給が上がれば、正社員との賃金差が縮まります。
すると「なぜ自分たちの給与は変わらないのか」という声が、社内から出てくる。
結果として、賃金表全体を見直さざるを得なくなるわけです。
つまりこれは、コストが増えたという話ではなく、収益構造そのものを問い直す機会なのだと私は考えています。
収益構造ということは業務のやり方やIT化状況の見直し、生成AIの利用の検討なども現代では必須の検討項目となるでしょう。
仮に時給が五十円上がったとしましょう。一人あたりで見れば、小さく感じるかもしれません。ですが十人、二十人と広がり、年間で積み上がれば、決して小さくない金額になります。
この増加分を「しかたのない支出」として飲み込むのか。それとも、価格転嫁や生産性向上で吸収できる体質をつくるのか。
その設計を今から始めているかどうかで、二、三年後の経営体力は大きく変わってきます。
賃金の上昇は、時代の変化です。押し返すことはできません。
だからこそ、前提として織り込んだうえで計画を立てる必要があるのだと思います。
「今の体制のまま、人件費が五パーセント増えても利益は残るか」「残らないのなら、どの事業の収益性を上げるべきか」。
この問いを、数字が動く前に持っておけるかどうか。ここが分かれ目のような気がしています。
BanSolでも「事業計画・アクションプラン」というメニューで、賃金上昇を織り込んだ数値計画づくりをお手伝いしています。
ただ、大切なのは計画の精度そのものよりも、変化を前提に考え始めること。
そしてその考え方が社内に残り、次の変化にも自力で向き合えるようになることだと思っています。
もちろん、誰と一緒に考えるかはそれぞれです。
一人で数字の前に立ち尽くすより、対話の中で見えてくるものは少なくないはずです。
波は、すでに来ています。流されるのではなく、乗りこなす側の設計を、一度描いてみてはいかがでしょうか。
この度はブログを読んで頂きありがとうございました。
経営に"財務の目線"を
中小企業のチェンジメーカー 谷口純一
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