来年いくら投資できるかは、もう決まっている|京都・BanSol
2026/07/29
「来期、どこまで投資できると思われますか」
経営者の方にこの問いを出すと、少し間が空くことがあります。やりたいことははっきりしている。人も採りたいし、設備も入れ替えたい。ただ、どこまで踏み込んでよいかは感覚で判断している。そんな場面によく出会います。
実は、来年一年で動かせる金額には目安があります。しかも、すでに決算書の中に書かれています。
成長するほど、お金は先に出ていく
まず、順調な会社ほど起きやすいことから。
売上が伸びると、売掛金が増えます。在庫も持たなければいけない。人を先に採り、設備も先に入れる。回収は、そのあとです。
つまり成長とは、お金が出ていく順番と入ってくる順番がずれる現象でもあるのですね。利益は伸びているのに預金が増えない。これは何かがおかしいのではなく、伸びている会社に起きる自然なことです。
問題は、そのズレの幅を知らないまま踏み込むことのほうにあります。
来年の「投資余力」は、すでに決まっている
では、どこまで踏み込めるのか。
出発点は、一年間で会社が生み出す現金です。おおまかには「税引後の利益+減価償却費」。この金額が、返済にも投資にも回っていきます。言ってみれば、来年一年で使える投資余力です。
減価償却費は、PL上経費ですが実際に計上される期には支出のない費用です。だから利益に足し戻す。設備をお持ちの会社ほど、この数字は利益より大きくなります。
もう一つ。利益を圧縮すれば税金は減りますが、投資余力も同じだけ細くなります。節税と投資余力は、同じ財布を取り合っている。どちらを優先するかはその年次第ですが、切り離して考えられる話ではないのですね。
銀行は、その数字で次の一手を見ている
この投資余力は、社内だけの話では終わりません。
金融機関が設備投資の相談を受けたとき、まず見るのは、有利子負債がこの現金の何年分にあたるかという比率です。おおむね十年以内であれば前向きに見られやすい、というのが一つの目安。見方は金融機関によって違いますが、骨格は共通しています。
つまり次の投資が通るかどうかは、稟議に持ち込む前にかなりの部分が決まっている、ということです。
私がこの数字を最初に見るようになったのは、事業再生支援を始めて苦しくなった会社の現場を数多く見てきたからでした。ただ、使い道はむしろ逆だと思っています。守るための指標ではなく、どこまで攻めてよいかを教えてくれる指標です。
やることは複雑ではありません。直近の決算書から「税引後利益+減価償却費」を出し、有利子負債の残高と、来期やりたいことの金額を横に並べる。それだけで、感覚で持っていた判断が、数字の話に変わります。
BanSolでも「事業計画・アクションプラン」というメニューで、この投資余力から逆算して、いつ何に投じるかを一緒に組み立てています。ただ、価値があるのは計画書そのものではありません。この逆算の順序が経営者ご自身と社内に残り、次の判断を自力でできるようになること。そちらが本当の狙いです。もちろん、誰と一緒に組むかはそれぞれです。
来期の一手を決める前に、一度自社の投資余力を確認してみてはいかがでしょうか。
この度はブログを読んで頂きありがとうございました。
経営に"財務の目線"を
中小企業のチェンジメーカー 谷口純一
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