判断は、記録した人から上手くなる
2026/08/12
「先月と似た場面なのに、違う結論を出してしまった」
そんな引っかかりを、覚えたことはありませんか。
今日はこう決めたのに、明日には揺れている。自分の判断が信用できない、という言い方をされる経営者の方もいます。
ただ私は、これを悪い兆候だとは思っていません。むしろ逆のことが起きている場合のほうが多いように感じます。
判断が増えるのは、伸びている証拠
会社が伸びている局面では、決めることの数が一気に増えます。人を採るか、設備を入れるか、どの取引を受けるか。頻度が上がり、しかも一つひとつが以前より重くなる。
ブレを感じるのは、判断の精度が落ちたからではなく、扱う判断の量と難度が上がったから。そういう場合が少なくありません。
とはいえ、量が増えれば処理は雑になります。だからこそ、判断そのものを鍛える習慣が要るのですね。判断力は、筋力に近いと思っています。使わなければ衰え、続ければ育つ。そして、すぐには結果が出ない。
記憶ではなく、記録に頼る
では、何が筋トレになるのか。特別なことは要りません。決めた理由を、一行だけ書き留めることです。
仕入れを増やすか迷ったとき、即決する前に「なぜそう思うのか」を一行。月次の数字を見たとき、「先月と何が変わったか」を一行。それだけです。
なぜ書くのか。頭の中だけの振り返りは、結果を知ったあとの記憶に上書きされてしまうからです。うまくいった判断は「読み通りだった」に、外れた判断は「あのとき迷っていた」に書き換わる。これでは検証になりません。
決めた時点の理由が残っていて、はじめて「何を見落としていたのか」が見えます。当時の自分が、いまの自分に語りかけてくれるわけですね。
正直に言うと、私自身、この習慣が続くようになるまで何度も挫折しました。ただ、意識的に振り返っておられる経営者の方とそうでない方とでは、半年、一年のスパンで判断の質に差が出てきます。センスや経験年数よりも、振り返る習慣があるかどうかのほうが効いている。そんな実感があります。
一人では、答え合わせができない
難しいのは、ほとんどの経営判断にすぐ正解が出ないことです。しかも自分の記録を自分だけで読み返すと、どうしても同じ角度からしか見られません。
同じ景色を見続けてきた第三者が「あのとき、こうでしたね」と一言添える。それだけで、記録は検証に変わります。BanSolでも定期的にお会いする中で、数字と一緒に前回の判断を読み返す時間をとっています。 一人で抱え込まないという話は、以前「経営者に必要な“壁打ち“という作法」でも書きました。
ただ、目的は私が答えを出すことではありません。読み返す順序が経営者ご自身に残って、次からは一人でもできるようになること。そちらが本当の狙いです。
思考の整理そのものに手応えがないという方には、前田裕二さんの『メモの魔力』にあるファクト→抽象化→転用の流れや、クリティカルシンキングの問題設定のステップ(3W1H)が助けになるかもしれません。私自身、さまざまな場面で使っています。
まずは今日の判断を、一行だけ。そこからで十分だと思います。
この度はブログを読んで頂きありがとうございました。
経営に"財務の目線"を
中小企業のチェンジメーカー 谷口純一
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BanSol 谷口純一公認会計士事務所
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