谷口純一公認会計士事務所

業界平均という、どこにも存在しない会社

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業界平均という、どこにも存在しない会社

業界平均という、どこにも存在しない会社

2026/05/26

「業界平均と比べて、うちは高いのか低いのか。気になったことはありませんか?」

毎月の試算表は、きちんと手元に届く。売上はいくら、利益率は何パーセント。それでも、ふと知りたくなるのではないでしょうか。「同業他社と比べて、うちの数字はどうなのだろう」と。

業界平均という指標は、たしかに一つの目安にはなります。ただ、正直に申し上げると、私はこの物差しを信用しすぎないほうがいいと考えています。むしろ、最もあてにならない数字のひとつかもしれない、とさえ思うのです。

その数字は、誰のものでもない

なぜ、あてにならないのか。理由は、その成り立ちにあります。

業界平均とは、利益率がとても高い会社と、ぎりぎりで踏ん張っている会社。商売のやり方もまるで違う会社をすべて足して、頭数で割っただけの数字です。計算上にしか存在しない、「架空の会社」の成績なのですね。

平均身長で仕立てた服が、実は誰の身体にもぴったり合わないのと、少し似ています。袖は長すぎ、肩はきつい。「平均」という言葉は、それらしく聞こえて、誰のことも正確には表してはいません。

「業界平均を目指す」という危うさ

ときどき、「まずは業界平均の利益率を目指しましょう」という言い方を耳にします。けれど、よく考えると、これは不思議な話だと思うのです。

あてにならない数字を、わざわざ自社のゴールに据えてしまっている。その数字に向かって背伸びをしたり、逆に「平均は超えているから」とほっとしたり。それで本当に、自社の経営は良くなるのでしょうか。

物差しは、長さを測れても、「なぜその長さなのか」までは教えてくれません。業界平均も同じです。「平均より低い」と分かったところで、なぜ低いのかは、何ひとつ語ってはくれないのですから。

正直に言うと、私自身、独立した当初は業界平均をもう少し信じていました。けれど、いくつもの会社の数字を見るうちに、考えが変わったのです。同じ「平均より低い」でも、その理由は会社の数だけあります。

惑わされる前に、自社の「なぜ」を知る

では、どうすればいいのか。

業界平均に一喜一憂する前に、まず自社がなぜその水準にあるのかを、ご自身の言葉で説明できるようにすること。私がお伝えしたいのは、これに尽きます。

利益率が低いのなら、原価が重いのか、価格設定が弱いのか、あるいは先行投資をしている時期なのか。理由が見えてくれば、その数字は「ダメな数字」ではなく、「次の打ち手を教えてくれる数字」に変わります。

逆に、平均より高いからと安心するのも、少し危ういかもしれません。なぜ高いのかを自分の言葉で語れなければ、その強みは、何かのきっかけで明日には崩れてしまうこともあるからです。

もし、自社の数字がなぜこの水準なのか、一度きちんと棚卸ししてみたいとお考えなら、BanSolでも「現状把握(業績振り返り)」というメニューでお手伝いをしています。過去数年の数字をともに読み解き、その背景にある理由を言葉にしていく場です。もちろん、誰と組むかはそれぞれです。

業界平均は、あくまで遠くにある目安にすぎません。その数字に惑わされる前に、まずは足元の、自社の数字に「なぜ」と問いかけてみてはいかがでしょうか。次の一手のヒントは、平均値ではなく、自社の数字の理由のなかにあるはずです。

この度はブログを読んで頂きありがとうございました。

 

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中小企業のチェンジメーカー 谷口純一

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