「何かいい利益改善や節税方法はないでしょうか」という矛盾
2026/05/12
「何かいい利益改善や節税方法はないでしょうか」という矛盾
決算前のこの時期、新規のご相談に来られる経営者の方からよくいただくご相談です。
「税金を払うのはもったいない」——心のどこかで、そう感じておられることはないでしょうか。
自分で汗をかいて稼いだお金を、国や地方自治体に持っていかれたくない。そう思うのは、人間として当然のことだと私は思います。私自身、正直に言えば、同じ気持ちがないわけではありません。
ただ、ここで一歩、立ち止まってみたいのです。
本気で「税金を減らしたい」なら、打ち手はどこにあるか
もし、本当に税金そのものを減らしたいのであれば、突き詰めると、打ち手は二つしかないように思います。
一つは、税負担を軽くする方針を掲げる候補者に、選挙で一票を投じること。
もう一つは、ご自身が国会議員となって、税法そのものを改正しにかかること。
性格の悪い言い方だと思いますが、税金の額は、つきつめれば法律で決まっています。
制度そのものを変えるなんていち経営者がやることにしては非効率すぎますよね。
ということは、「節税したい」という言葉の裏には、税金の額そのものではない、別の本音が隠れているのではないか、と私は考えるのです。
「節税したい」の奥にある本当の欲求
経営者の方とじっくりお話を重ねると、本当に達成したいことは、こんな言葉になります。
資金繰りを楽にしたい。手元のお金を増やしたい。もっと稼げるようになりたい。
つまり、税金を減らしたいというより、「自社のお金を今より増やしたい」というのが本音なのですね。
月末の預金残高は、どこから来ているか
月末に通帳に残っているお金は、ざっくり三つの流れの結果として残ります。
本業で稼いだお金、営業キャッシュフロー。設備投資や資産売却で動いたお金、投資キャッシュフロー。借入・返済・出資などで動いたお金、財務キャッシュフロー。
本業で稼いだお金を、新しい設備に回す。あるいは借入返済に充てる。こうした循環の結果として、月末の残高が決まっています。
そして税金は、この中の「営業キャッシュフロー」に含まれる、れっきとした支払項目です。
税金は、利益に対して課されます。税金が減るということは、利益が減るということ。
利益が減るということは、営業キャッシュフローそのものが小さくなる、ということなのです。
経費を増やして利益を圧縮すれば、税金は減りますが、手元に残るお金も同じだけ減る。
「そんなことは百も承知だ」——その奥にある本音
ここまで読まれて、こう感じておられる方もいらっしゃるかもしれません。
「そんなことは百も承知だ。経営者をなめるな」と。
おっしゃる通りだと思います。実は、多くの経営者の方が、頭では分かっておられる話なのです。
それでも、決算前になるとつい節税の話に気持ちが寄ってしまう。その奥にある本当の悩みは、こうではないでしょうか。
「営業キャッシュフローを、どうやって改善すればいいのか分からない」
ここに、本質的な悩みがあるのだと私は感じています。
営業CFを改善する、たった二つの道
営業キャッシュフローを増やすには、もとを辿れば営業利益を増やすしかありません。そしてその打ち手は、つきつめると二つだけです。
一つは、売上を上げること。もう一つは、コストを下げること。
私の経験上、中小企業で詰まっているのは、圧倒的に売上の方です。コスト管理は、皆さん日々シビアに向き合っておられる。本当のボトルネックは、売上をどう伸ばすか、にあるケースが多いのですね。
そしてここに、もう一段奥の本質があるように思っています。
売上が伸び悩む根本の理由は、マーケティングの本質的な知識を持たないまま、売上拡大を模索し続けているからではないか、ということです。
「学ぶ」を飛ばしてしまっていないか
なぜ人は購買行動をするのか。
なぜ自社のコンセプトを言語化する必要があるのか。
なぜペルソナ設定が大事なのか。
こうした本質を学ぶ前に、自社とはまったく異なる製品で成功した会社のSNS発信や行動をマネしてみる。そういう光景を、私は何度も目にしてきました。
うまく言えないのですが、これは、地図を持たずに知らない街を走り出すようなものかもしれません。誰かが走っていく方向につられて走っているだけで、自分の辿り着きたい場所には届かないのです。
本質を学び、その上で行動する。一見、遠回りに見えます。けれども、長く現場を見てきた経験から言えば、これが結局のところ、一番の近道なんだけどなあ、と感じる場面が最近もあり、本日ご紹介させていただきました。
この度はブログを読んで頂きありがとうございました。
経営に"財務の目線"を
中小企業のチェンジメーカー 谷口純一
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