直感と数字のあいだ
2026/05/07
「経営の現場で、ふと『これだ』と感じる瞬間、ありませんか?」長年事業を回してこられた方ほど、この直感が研ぎ澄まされているように、私は感じています。
新しい取引先に覚える違和感。新商品の打ち出し方で、こちらのほうがいい気がする感覚。理屈では説明できないけれど、自分のなかでは確信に近いもの。これが直感ですね。
ところで、経営判断において、この直感はどこまで信じていいものなのでしょうか。
正直に言うと、私自身も以前は「経営は数字と理屈で組み立てるべきだ」と思っていた時期があります。会計の世界に長くいると、どうしても数字を絶対視しがちなんですね。でも、経営者の方々と関わるなかで、考えが少しずつ変わってきました。
直感には、それまでの経験と試行錯誤が詰まっています。何百回と意思決定を重ねてこられた経営者の直感は、その方なりの「データの蓄積」のようなもの。これを軽視して数字だけで判断しようとすると、かえって筋の悪い結論に至ってしまうこともあると、私は感じています。
一方で、直感だけに頼るのも、これはこれで危ういものです。人は、自分が見たいものを見る生き物。都合のよい情報だけを拾い、不利な兆候を無意識に避けてしまう。経営者ほど、この罠にはまりやすいのではないでしょうか。
直感はコンパス、数字は地図
私が経営者の方々にお伝えしているのは、直感と数字は対立するものではなく、補い合うものだ、ということです。
直感が「こちらに行くべきだ」とささやいたとき、その方向を数字で裏取りしてみる。粗利率の動き、顧客構成の変化、固定費の比率。数字も同じシグナルを出していれば、判断の確信は格段に高まります。
逆に、直感と数字がずれているとき。これが、立ち止まるサインです。「いけそうな気がする」のに数字を見るとそうでもない。あるいは数字上は問題ないのに、なんとなく気が進まない。このギャップを解きほぐしていくと、自分が見落としていた前提や、思い込みに気づけることがあります。
直感はコンパス、数字は地図、と言ってもいいかもしれません。コンパスは方向感覚を教えてくれますが、地形までは見えません。地図は地形を映してくれますが、進む方向は自分で決めるしかない。両方を手元に持って、はじめて旅の判断ができるのですね。
行き来する場を持つ
ただ、これを一人でやり続けるのは、なかなか難しいものです。自分の直感を疑うのは骨が折れますし、整理された数字が手元になければ突き合わせも始まりません。
私がクライアントの方とご一緒するときは、過去の数字と経営者ご自身の肌感覚を突き合わせる時間を持つようにしています。「この時期、感覚としてはどうでしたか?」と問いかけながら数字と感覚を行き来するうちに、経営者ご自身が自分の判断のクセに気づかれる瞬間が訪れるのです。
BanSolでも「現状把握(業績振り返り)」というメニューでこうした場をご一緒しています。もちろん、誰と組むかはそれぞれです。社内の幹部と数字を見る時間を増やすのもよし、顧問の税理士さんに月次の対話を依頼するのもよし。形は何でも構いません。
大切なのは、直感を磨きながら、数字とも対話を続けること。経営者の判断力は、その行き来のなかで育っていくものなのかもしれません。
この度はブログを読んで頂きありがとうございました。
経営に"財務の目線"を
中小企業のチェンジメーカー 谷口純一
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