「税金が増えると会社のお金は減るの？」…キャッシュフローから見る節税の知識

「決算期が近づくと税金の支払いが重く感じる…」「資金繰りを考えると、節税をしたほうがいいのでは？」と悩む経営者は多いでしょう。しかし、税金の削減だけを目的にしてしまうと、長期的には資金繰りを圧迫することがあります。むしろ、税金の納税額が増えることは税引き後に残るお金が増えることにつながる場合もあるのです。本記事では、キャッシュフローの観点から、本当に効果的な節税の知識について解説します。 「会計専門家として経営者に伴走し、日本をもっと元気にしたい。」 このブログでは、上場会社から中小零細企業まで数多くの企業経営をサポートしてきた“中小企業のチェンジメーカー”を目指す谷口純一が、自身の経験と知識を繁盛を目指す皆様のお役に立てる情報として発信していきます。 --- 税金の支払いが負担…キャッシュフローから見る節税の知識 1. 節税の本質を理解する 「節税」と聞くと、税額を減らすことばかりに注目しがちですが、実は税金の仕組みを誤解している場合があります。特に注意したいのは、「税額控除以外は実質的な節税にはならない」という点です。 例えば、経費を増やして利益を抑えれば税額は下がりますが、それにより手元資金も減少します。これでは資金繰りが厳しくなり、長期的な経営には不利です。むしろ、利益が増えて税金の納税額が増えても、それは企業の経営が健全に成長している証であり、結果として税引き後に残るお金が増える可能性があります。 --- 2. キャッシュフローを意識した節税対策 税負担を軽減しながら資金を手元に残すには、キャッシュフロー管理が重要です。以下のポイントを押さえましょう。 ① 税額控除を積極的に活用する 税額控除は法人税額を直接減額できるため、本当に効果的な節税になります。例えば、研究開発税制や投資促進税制を活用することで、税負担を減らしつつ、企業の成長戦略に貢献できます。 国策と自社事業の方向性がマッチすれば非常に有効な節税策となります。 ② 設備投資のタイミングを工夫する 決算期直前に設備投資を行うのではなく、数年間のキャッシュフローを考慮した計画的な投資を行うことで、資金繰りの安定化につながります。 ③ 社員の福利厚生を活用する 企業型確定拠出年金（企業型DC）による社員目線の資産形成や退職金積立を活用すれば、従業員の満足度を向上させながら節税にもつながります。これは経費として計上されるため、適切な活用をすることで長期的な資金管理にプラスになります。 --- 3. 資金繰りを考えた納税計画 税金の支払いは避けられませんが、納税のタイミングを管理することで、キャッシュフローを安定させることが可能です。 ① 予定納税を活用する 納税を分割して支払うことで、資金負担の集中を防ぎ、資金繰りをスムーズにします。 ② 適切な中間納税を行う 決算後の大きな税負担を避けるため、適切な納税額を事前に調整し、資金計画を立てることが重要です。 ③ 税額の増加を前向きに捉える 「税金の納税額が増えることは税引き後に残るお金が増える」ことを理解し、無理な節税ではなく、収益の最大化と適切な税務管理を優先すべきです。資金繰りを見据えた納税計画を実施することで、安定した経営につながります。 --- まとめ 節税を考える際には、単に税金を減らそうとするのではなく、長期的には資金繰りを圧迫する可能性があることを理解し、キャッシュフローを見据えた対策を取ることが重要です。特に、税額控除以外は実質的な節税にはならない ことや、税金の納税額が増えることは税引き後に残るお金が増えるという視点を持つことで、賢い資金管理が可能になります。ぜひ今回のポイントを活用し、経営の安定につなげてください！ この度はブログを読んで頂きありがとうございました。 経営に“財務の目線”を 中小企業のチェンジメーカー　谷口純一